第7回 湿原発達のキーとなる泥炭

泥炭とは、未分解の植物遺体で構成された土壌です。主に冷涼な気候の北方か、赤道周辺の熱帯に分布しています。それは、未分解で植物が堆積する条件として、寒さで分解微生物の活性が低く植物遺体の分解が進まないこと、分解速度よりも植物遺体の供給速度のほうが早い(年間を通じて植物の成長がとても早い場合に生じやすい)ことが必要になるためです。

未分解な植物遺体で形成されている泥炭

北方の泥炭の蓄積速度は、年に1mm程度であることが知られています。北海道では、泥炭の厚さが3~5mほどの場所が多いのですが、その堆積には3000から5000年かかっていることとなります。

この泥炭は、有機物でよく燃えるため、乾燥させて暖房や調理燃料として利用され私たちの暮らしを豊かにしてきましたが、実は湿原の植物にとっても非常に重要な資源なのです。それは、水分保持、養分供給、酸性環境維持といった重要な役割をもっているからなのです。

茶色の部分はミズゴケ類の未分解遺体。水分保持や酸性環境維持などの役割を持っている。