ボッグはミズゴケが優占する湿原です。ボッグのある神仙沼(5月頃)の様子を見てみよう。ボッグのなかには池塘(小さな水たまり)がたくさんあります。
別寒辺牛湿原のボッグを次のツアーで見てみましょう。植物が少し赤茶色になっているところがボッグです。
ボッグでは、ミズゴケ類、小低木、カヤツリグサ科植物、地衣類が主に分布しています。以下に北海道のボッグでよく見られる種を示します。
ボッグには様々なタイプのものがあります。Raised bog、Blanket bog、Valley bog、String bog、Palsa bog、Polygonal bog、Quaking bogなどです。それらは、地形・養分特性・水文 特性等によって分類できます。
Raised bogは、既に解説したように、わずかに地表面が盛り上がったドーム状のボッグです。
Blanket bogは、地表面が完全にミズゴケで覆われたボッグです。まるで泥炭土壌に毛布や羽毛布団をかけたような景観となります。Blanket bogは、雨の多い寒冷地でみられますが、日本にはほとんどありません。
Valley bogは、ゆるやかな谷や凹地に発達するボッグです。泥炭土壌が谷底まで埋まっており、その泥炭土壌の表層を小川が流れていることが多いです。
String bogは、畝状に盛り上がったスジ(String:ひも)と細長い水たまりで構成されるボッグです。アーパbogと呼ばれることもあります(アーパ:Aapaはフィンランド語で「沼地」を意味する)。このボッグは、わずかに傾斜した地形に発達します。日本にもわずかに分布しています。
Palsa bogは、中心部に永久凍土コアを有する低く丸いマウンドがみられるボッグです。Palsaは、フィンランド語で「氷の芯があるマウンド」という意味です。Palsa bogは、不連続な永久凍土が存在する極地周辺に分布しています。マウンドの連続体はおおよそ高さ0.5〜10m、長さ2〜500mほどになります。永久凍土のコアが成長するほどマウンドは大きくなる傾向があります。日本にはありません。
Polygonal bog(多角形のボッグ)は北極とその周辺でみられるボッグです。多角形のパターンは、永久凍土の割れ目(氷のクサビ)で構成されます。完全な永久凍土地帯に分布し、日本にはありません。
Quaking bogは、泥炭でできた浮島の上に発達するボッグです。歩くと揺れます。水位変動によってこの浮島が上下します。湖沼の辺縁部などに多くみられます。尾瀬ヶ原湿原の一部にもこのタイプのボッグがみられます。